特装版・ベクシンスキ作品集成のデザインについて(2)
(乾いた錆の感じを追求した表紙。BEKSINSKIの文字はエングレービングとした)

われわれがつくる特装版は一般の書店流通にのせるため取次ぎから要求される各種仕様上の制約を満たすことを放棄することで、装丁の自由度を担保している。ほどなく本の世界の主流はiPadやKindleのような電子ブックに移り変わってゆくだろう。それでも少数であれ世界中に紙の本を愛する読者(ビブリオ・ファイル)が存在し、この国にその優れた印刷技術と特殊製本を実現出来る職人がいる限りは、本の物質性を最大限に活かした装丁の楽しみを追求してゆきたいと考えている。しかし、おそらくこうした紙の遊戯がゆるされる時代もそう長くは残されていないであろう。われわれの本とともに紙媒体としての本の最期の時代をみとっていただきたいものである。特装版はいわば本の死装束といっても過言ではない。



そこで今回のベクシンスキの作品集成では「錆ついたモノリス」というコンセプトを打ち出した。特殊印刷やエングレービングを使いながら、錆の浮いたカサカサ、ザラザラとした鉄板の触感、あるいはオイルか水がその表面にしたたり滲んだ表情をいかに紙(錆に類似したテクスチャーをもつファンシーペーパーを今回2種採用し、函と表紙で使い分けている)の上で実現するかに挑戦してみた。本を手に持ったり小脇に抱えたら錆が手や衣服にうつる恐怖が感じてもらえるようなリアリティがでるよう追い込んでいる(写真は試作品)。コストの関係で小ロットの限定制作となる。(函は乾いた錆の表面にオイルあるいは水分がついた感じに。手や衣服に錆がうつりそう。カサカサした錆のざらつきと湿気が付いた部分ーー外光が青く反射しているーーが不規則に入り交じる。)

間もなく出来。
| 編集部 | ベクシンスキー | comments(0) | trackbacks(0) |
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