『ベクシンスキ作品集成III―ドローイング篇』を先行出版するにあたり
2010.05.05 Wednesday 22:00
〈もっともダークでエロティックなベクシンスキ〉
現状ベクシンスキ作品集成の刊行第ニ弾は、
変則的ながら第三巻(『ベクシンスキ作品集成III』)が、
先行することになりそうだ。


そもそもベクシンスキ作品集成を三巻のシリーズとして企画したのは、まず一冊にまとめるにはあまりに作品量が膨大であったためである。末永く愛読していただくためには上製本が前提となる。故に分冊の方が圧倒的に扱いやすいという判断もあった。また写真、彫刻、ドローイング、絵画、CG作品等とジャンルも多岐にわたるため、生涯の創作の軌跡をある程度じっくりと時系列順に紹介した方が芸術家の全貌をより深く理解・鑑賞していただけるとも考えた。しかしながら世界中にベクシンスキの名を知らしめたのが圧倒的に幻想的な絵画作品であったため、どの巻にもそれらの絵画を配した内容構成は崩したくはなかった。というのも写真、彫刻、ドローイング、70年代、80年代、90年代絵画という並べ方では読者の興味が特定の巻に偏ってしまうかもしれない。そこで第一巻には芸術家としてのスタートを切った50年代の写真作品と70年代、80年代の作家の一番代表的な絵画作品を収めることにした。次に80年代〜90年代および晩年の絵画作品、時間を遡るけれど60年代の彫刻レリーフ作品を収めた『ベクシンスキ作品集成II』へと続き、最後に60年代〜70年代に精力的に描かれたドローイング作品(モノタイプ、ヘリオタイプ作品を含む)をまとめた『ベクシンスキ作品集成III』へと続く。
これが当初の出版構想であった。

現状ベクシンスキ作品集成の刊行第ニ弾は、
変則的ながら第三巻(『ベクシンスキ作品集成III』)が、
先行することになりそうだ。


そもそもベクシンスキ作品集成を三巻のシリーズとして企画したのは、まず一冊にまとめるにはあまりに作品量が膨大であったためである。末永く愛読していただくためには上製本が前提となる。故に分冊の方が圧倒的に扱いやすいという判断もあった。また写真、彫刻、ドローイング、絵画、CG作品等とジャンルも多岐にわたるため、生涯の創作の軌跡をある程度じっくりと時系列順に紹介した方が芸術家の全貌をより深く理解・鑑賞していただけるとも考えた。しかしながら世界中にベクシンスキの名を知らしめたのが圧倒的に幻想的な絵画作品であったため、どの巻にもそれらの絵画を配した内容構成は崩したくはなかった。というのも写真、彫刻、ドローイング、70年代、80年代、90年代絵画という並べ方では読者の興味が特定の巻に偏ってしまうかもしれない。そこで第一巻には芸術家としてのスタートを切った50年代の写真作品と70年代、80年代の作家の一番代表的な絵画作品を収めることにした。次に80年代〜90年代および晩年の絵画作品、時間を遡るけれど60年代の彫刻レリーフ作品を収めた『ベクシンスキ作品集成II』へと続き、最後に60年代〜70年代に精力的に描かれたドローイング作品(モノタイプ、ヘリオタイプ作品を含む)をまとめた『ベクシンスキ作品集成III』へと続く。
これが当初の出版構想であった。


今回の作品集成では80年代以降のスケッチ、ドローイング類とCG作品はテキスト内の参考図版にとどめ本編での作品図版掲載は残念ながら割愛することにした。CG作品は後年のベクシンスキが精力的に取り組んだジャンルではあるがベクシンスキ自身にとってはまだ試作的な段階と思しく、比較的他者にも自由に公開してきた。また軽いデータで出力には向いても印刷物に耐えうる高画質のデータとはなっていなかったようである。ドモホフスキ氏によればいずれ得心のいく作品ができあがった暁には自身で編集をし、出版も考えていたという。また80年代のスケッチあるいは90年代以降のドローイングは60年代と70年代のそれ自体が独立した創作物という位置づけとは大きく異なりどちらかといえば本画となる絵画作品の下絵(アイデア・スケッチ)的な位置づけで描かれた人物絵が中心である。いずれもドモホフスキ・ギャラリーのヴァーチャル・ミュージアムで公開されているのでそちらをご覧いただきたい。http://www.dmochowskigallery.net/
冒頭でも触れた通りシリーズの巻数とは異なり、集成の続刊は60年代、70年代のドローイング作品で構成された『ベクシンスキ作品集成III』になる予定である。時系列的には60年代70年代のドローイング作品が70年代以降の幻想的な絵画作品の揺籃となっていたわけで、この巻を第三巻で補遺のような扱いにしてしまうことが大変惜しいと考えるに至ったからである。第一巻の写真と絵画をつなぐ創作時期としてこのドローイング作品を是非とも出版順としては第ニ弾に組み替えたいと考えたのには、もうひとつの理由がある。実はベクシンスキのドローイングは写真、彫刻に連続する時代の作品ではあるがそれまでの抽象表現主義的な現代美術のメインストリームからあまりにもポルノグラフィックでグロテスクな題材へと転換してしまったため美術界からはまったくネグレクトされてしまうことになになる。また世界的な人気を獲得する70年代以降の写実的な幻想絵画が発表されるまでには約10年の歳月が必要となる。諸外国のベクシンスキ画集はもっぱら幻想絵画家としてのベクシンスキをとりあげ、あるいは写真家ベクシンスキはとりあげるが、ドローイング作品はわずかな言及くらいでほとんど図版の紹介がないのである。現在ドローイングを扱った画集としてはドモホフスキ氏がつくった大部なカタログレゾネの他、ポーランドのチェンストホーバ美術館が出した本(これもドモホフスキ氏が提供した100点あまり)が存在するのみである。しかしながらこの約10年間に精力的に制作されたモノクロのドローイング群の中にこそベクシンスキをベクシンスキたらしめる死と恐怖そしてエロティシズム、そしてもっとも深く暗いベクシンスキ芸術の精髄が徐々に彫琢されていく過程を見いだすことが出来るのである。『ベクシンスキ作品集成III』を先行して刊行する最大の理由はこの点にある。画集の人気度からいえば、テーマが偏ったモノクロのドローイング作品はあまり注目されないかもしれない。あえてこのダークでエロティックなベクシンスキ作品の出版を試みる『作品集成III』はその意味で非常に貴重かつ稀少なベクシンスキ画集となるはずである。芸術家のエロスとタナトスの原点ともいえるこれらのドローイング作品からどうか読者は目を背けないでいただきたいと願う次第である。まもなく受注開始の予定。




[60年代70年代のドローイング(デッサン*)]
*ドローイング(タイトルには英語表記を採用しています)=デッサン(仏語またはポ語からの翻訳ではデッサンと呼称しています)
冒頭でも触れた通りシリーズの巻数とは異なり、集成の続刊は60年代、70年代のドローイング作品で構成された『ベクシンスキ作品集成III』になる予定である。時系列的には60年代70年代のドローイング作品が70年代以降の幻想的な絵画作品の揺籃となっていたわけで、この巻を第三巻で補遺のような扱いにしてしまうことが大変惜しいと考えるに至ったからである。第一巻の写真と絵画をつなぐ創作時期としてこのドローイング作品を是非とも出版順としては第ニ弾に組み替えたいと考えたのには、もうひとつの理由がある。実はベクシンスキのドローイングは写真、彫刻に連続する時代の作品ではあるがそれまでの抽象表現主義的な現代美術のメインストリームからあまりにもポルノグラフィックでグロテスクな題材へと転換してしまったため美術界からはまったくネグレクトされてしまうことになになる。また世界的な人気を獲得する70年代以降の写実的な幻想絵画が発表されるまでには約10年の歳月が必要となる。諸外国のベクシンスキ画集はもっぱら幻想絵画家としてのベクシンスキをとりあげ、あるいは写真家ベクシンスキはとりあげるが、ドローイング作品はわずかな言及くらいでほとんど図版の紹介がないのである。現在ドローイングを扱った画集としてはドモホフスキ氏がつくった大部なカタログレゾネの他、ポーランドのチェンストホーバ美術館が出した本(これもドモホフスキ氏が提供した100点あまり)が存在するのみである。しかしながらこの約10年間に精力的に制作されたモノクロのドローイング群の中にこそベクシンスキをベクシンスキたらしめる死と恐怖そしてエロティシズム、そしてもっとも深く暗いベクシンスキ芸術の精髄が徐々に彫琢されていく過程を見いだすことが出来るのである。『ベクシンスキ作品集成III』を先行して刊行する最大の理由はこの点にある。画集の人気度からいえば、テーマが偏ったモノクロのドローイング作品はあまり注目されないかもしれない。あえてこのダークでエロティックなベクシンスキ作品の出版を試みる『作品集成III』はその意味で非常に貴重かつ稀少なベクシンスキ画集となるはずである。芸術家のエロスとタナトスの原点ともいえるこれらのドローイング作品からどうか読者は目を背けないでいただきたいと願う次第である。まもなく受注開始の予定。





[60年代70年代のドローイング(デッサン*)]
*ドローイング(タイトルには英語表記を採用しています)=デッサン(仏語またはポ語からの翻訳ではデッサンと呼称しています)

